牡羊座は春のはじまり、春分点から始まります。火の活動サインは、新しく火を起こします。これは、何かに触発されてその気になったから火を起こすのではなく、自発的で衝動的です。
存在の始まりなので、新たに始めること自体に意味があります。それは端から見れば愚かな行為であっても、やらずには自分ではなくなってしまうというような危機感もあるのかもしれません。考える前に動くので、周りをびっくりさせるでしょう。
ですが、このような役割があるから、教訓が生まれ次に引き継がれていきます。
12星座は平面の円ではなく、螺旋状になっているとわかりやすいです。牡羊座の前には魚座がありました。魚座は、以前の牡羊座から始まって水瓶座までの体験の蓄積があり、新たなイメージを膨らましています。夢を抱くのは魚座ですが、それを実行するのは牡羊座です。
魚座から牡羊座に移ったときには、魚座の夢やイメージは主体となっているため、夢やイメージとしてはもう認識できません。これは自分の顔を見ることは永遠にできないことと似ています。また、音楽家になりたいと夢想しているときは音楽家ではありませんが、音楽家になっているときに音楽家になりたいとは思えないようなものです。音楽家としての振る舞いを、無意識的に牡羊座はしてしまうのです。
牡羊座は憧れからわざとそう振る舞っているわけではなくて、そう振る舞ってしまう。それは魚座のイメージを引っ張ってきて行動に移しているだけです。
つまり、人の直感的な行動は、もちろん目に見える短期的な外部の影響も受けます(例えば値引きセールを見て衝動買いをしたくなるような)が、長期的なイメージの影響の結果であることも考慮に入れなくてはなりません。
自分への育てられ方が、自分が親になったときの育て方に影響するのは、庇護下にあった時代に膨らませた親像からのインスピレーションによって、自分がされたことを我が子にも繰り返してしまう、もしくは選択肢の一つとして想起されてしまうのです。賞罰の与え方として、自分の大事なものを捨てられた人は、我が子に与える罰としてその子が大事にしているものを捨てるという行為をします。あるいは、お年玉で与える金額は、貰ってきた額に影響されるでしょう。
行動経済学では、アンカリング効果というものがあります。これは、無意識的に基準を設けて意思決定の指針にしてしまうというものです。牡羊座のふるまいは、魚座のイメージのアンカリングされているというように捉えることもできます。
占星術は数字の哲学が発祥のため、人間をこのように現代科学の知識と紐付けることもできます。だからこそ人を洞察することが可能になるのです。