ビジョンの海王星
西洋占星術での海王星
海王星は、魚座の支配星。夢や無意識、ビジョンを意味します。夢が曖昧なように、僕らは海王星を明確に意識することはできません。意識はできないけれど、何かしらのカタチで、海王星は暗示的に自身の行動に影響を与えています。
先日、サウナで流れていたテレビでは唐揚げの特集をしていて、実際に唐揚げを食べたくなって、唐揚げを注文しましたが、イメージ的にはこのようなものです。実際は、唐揚げほどの明確なビジョンが降りてくるわけではないし、今回の例だったら、テレビで唐揚げを見たから食べたくなったと分かります。海王星は僕らに無意識のところで気づかれないように働きかけ、急に「唐揚げが食べたくなってきた」というカタチで行動に働きかけます。
海王星の公転周期は165年で、同世代の人は同じ星座の位置にあります。つまりこのビジョンというのは、世代全体が持っている集合無意識と解釈することができます。
海王星のもたらすビジョンは、冥王星が持ってきた太陽系外からの新情報をもとに構想されます。この無意識のビジョンを受けて天王星が実際的なアイディア・知恵としてひらめき、土星の作る枠組み(現実)を更新していきます。
また、海王星は無我なので、個人の枠組みを超えています。天王星までは個人のオリジナリティを発揮しますが、次の海王星の惑星意識を獲得するためには、自我を消滅させ全体性を獲得しなければならないため、これは仏教でいう悟りを表しています。自分を殺して全体の流れの元へ帰る発想は、個人主義者(僕らのこと)から見えれば狂人のそれです。ですが、自分自身の個人的な人生を達成し、飽きてしまったときに、はじめて自分なんてどうでも良いという境地を目指せるのです。
この個人的な人生の達成は土星をクリアしたということで、更にそれに飽きてしまったときに、初めて次の段階を心から望めるというものです。各々が持っている土星のテーマをクリアしなければ海王星の意識獲得は難しいでしょう。
今説明していて、既に気づいた方はいらっしゃると思いますが、天体の流れには、月⇨水星⇨金星⇨太陽⇨…⇨海王星⇨冥王星という「進化の流れ」と、冥王星⇨海王星⇨天王星⇨土星⇨…⇨水星⇨月という真逆の「創造の光線の下降」の二種類があります。この言葉は、占星術研究家の村松氏が使っているものです。
自己超越するには、自身が惑星意識を獲得することにありますが、これは進化の流れによって達成できます。月の持つ感情をコントロールし、水星の持つコミュニケーションや資質を活かせるようになったら、余裕ができる。余裕ができるようになったら物事を楽しめるようになる。これは金星の惑星意識です。自分の感情を認識し、自分の資質を生かして課題解決を行えるようになり、更に物事を楽しめる状態でしたら、月から金星を使いこなすことができています。
個人的に楽しむことにも飽きたら、今度は社会で自分を役に立てたいと思い(太陽)、方向性が定まったら、既存社会へ大きく打ち出していく(火星)、そして個人の力の限界まで引き出しきったとき、発想を転換することで社会(他力)の協力、支援によって実力以上の恩恵を得て(木星)、そして自分のできることとできないことの線引きがはっきりして、安定して社会を作る(土星)と、このように続いていきます。
マズローの欲求段階説のように、前の段階の天体を使いこなせるようになってはじめて次の天体に意識を向けることができます。これが進化の流れです。
一方、創造光線の下降は、太陽系外の情報を冥王星がキャッチし、それを海王星がビジョン化し、ビジョンを元に天王星がアイディアや理論を生み出し、土星が作る現実を広げていきます。創造光線の下降は雨が降るように、コントロールはできず、受け取るしかありません。そのときの雨受け皿は、一つ公転周期の遅い天体です。つまり、天体の発展度が器になるので、天体を使いこなせていれば、創造の光線を受け止め活かすことができますが、器が未熟な場合は運命に翻弄されることになります。
子供の頃は、些細なことに振り回されていたけれど、大人になった今、同じことが起きても簡単に処すことができるのは、惑星意識を作ったからです。そして今振り回されていることがあっても、それは惑星意識を獲得することで、些細なことになっていきます。
海王星の意識を獲得するとは、悟りを得ると同義であり、普通では辿り着くことはできませんし、無理に悟りを開こうとする必要はありません。もし、悟りを開きたいのであれば、天王星までの惑星意識をまずは獲得することです。社会を味方につけ(木星)、業績を上げ、生活に一切困らない状況(土星)で、オリジナルな存在となり(天王星)、そのアイデンティティにも飽きて全体に帰りたいと望んだときに、海王星意識が始まります。
超越占星術での海王星
ヘリオセントリックおよび超越占星術における海王星の意味は、ジオセントリックと同じとして考えてもよいでしょう。
冥王星が太陽系外から持ってきた新情報をもとに作った海王星のもたらすビジョンは誇大妄想的ですが、これを独自の方法で達成させようとアイディア出しするのが天王星で、この妄想を理想に落とし込んで目標にするのが土星の役割です。詳しくは土星の記事にも書きましたので御覧ください。