実現の土星
西洋占星術での土星
本日は土星について。
土星は太陽の目的意識の結果です。最終的にどんなものが形作られるか、ということです。現実とは、個人の抱える無能さが、努力や成長によって、ある程度の不可能性から脱したものです。土星が与えるのは、試練や課題です。若い頃はできなかったことが、晩年には克服し、自由にできるようになる。人生のレールを作るのが土星です。
またもう一方で、土星は、海王星の持つ幻想を、理想という形にダウングレードさせて実現可能なところまで抽象度を下げていきます。太陽の目的と海王星の幻想を土星が結果へ、現実と理想という形にする。
そういった意味で、土星は父親のような人格を持っています。例えば、スポーツ選手になりたい(目的と幻想)と子供が言ってきたとする。すると、父親は「なるなら稼げるスポーツにしなさい。例えば競輪選手(現実的・理想)とか」とアドバイスするようなものです。母親人格の木星は、どんなことでも肯定し、伸ばそうとしますが、父親人格の土星は生きていく上での必要なレールをつくることで、はみ出てはいけない領域を同時に作り出します。
長期的な安定した生活をするために、節度と規律のある人生を創り出す役割を持っているので、人生の後半になればなるほど重要な天体になります。人生のメンテナンスをすることで、ボトルネックを解消させます。
余談ですが、輪が連なった鎖が切れるとき、一番脆いリングが切れることで、鎖が崩壊します。この一番弱いリングがボトルネックです。人生のボトルネックを土星は強めようとするので、土星のいる位置は、その人にとって苦手意識(課題)を持っていることが非常に多いです。
友人関係や夢を表す11ハウスに土星があれば、友達が少ないが、まじめてしっかりした友人に恵まれます。夢も飛躍したものではなく、実現可能な夢を抱くので、ビジョンを達成しやすいです。正確に言えば、どんなに飛躍して見えていても、その人にとってはできることだと信じている、に近いでしょう。
獅子座に土星があるの人は、土星の型にハマった表現を好むので、演劇など向いているでしょう。
天秤座の土星は、他人との距離感に悩むので最初は対人関係が苦手ですが、人に興味があるので、晩年ではマネージメント能力や根回しする力が発達していきます。
山羊座の土星は地域社会や伝統に対して愛着が強く順応性が高いので、よく地元を愛します。あらゆる分野で成功する可能性がありますが、順応性が強いため、突出した能力を発揮しようとすると自分の力をセーブしてしまいます。目上の人に好かれます。
超越占星術での土星
ヘリオセントリックおよび超越占星術でも土星は、現実、最終着地点を意味します。太陽から放出された創造光線を水星金星が受け取り、無能、ゼロ(無限の可能性)からはじまった地球にいる我々ですが、この土星によって無能性を脱して現実(有限性)の自己を達成させます。
冥王星から、つまり逆方向から土星を考えても面白いです。冥王星が持ち込んだ太陽系外の情報を、海王星がビジョン化しますが、地球にいる我々にとっては誇大妄想的です。
この妄想を理想の形まで落とし込んだのが土星です。例えるならば、子供がスポーツ選手、卓球選手になりたい!と言った時に「卓球選手じゃ稼げないから、競輪選手にしなさい」と修正するような父親のような役割です。そして子供は「競輪選手になることを理想(目標に)」して目指していくと考えると、海王星の妄想的なビジョンを土星が理想に落とし込んでいく作業が納得できるかと思います。
太陽からのやってきた創造の光線で考えるならば、火星で挑戦をして、個人の能力の限界値が定まり、木星による他力、社会の後押しを受けて、拡大していった結果が土星です。火星から木星の流れですが、これはロケットのブースターの切り替えと捉えると分かりやすいです。
土星を見ることで、ゴール地点を見定めて行動すると迷わずに進むことができます。土星のゴールを達成することによって、地球の目的を達成することができるのです。