占星術は、ホロスコープという、自身が生まれた瞬間の天体の位置を記した地図を紐解いていくことで、個人の資質や役割などを知り、より良く生きるための思想であり、技術であり、ツールです。
代表的なものは太陽星座です。星占いで○○座のあなた、というのは、太陽星座を意味しています。
例えば、あなたの太陽星座が蠍座であるならば、あなたが生まれた瞬間、太陽の位置に蠍座があったということです。太陽の背後に蠍座があるということは、日中に蠍座があるが、太陽が明るすぎて星が見えないということですから、夜には蠍座を観測することができません。蠍座は夏の星座として、8月の夜に姿を見せます。
占星術では、太陽のほかにも、月、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星と、全部で10の天体を見ていきます。
太陽星座が蠍座だからといって、他の天体の星座も蠍座、ということではありません。ほとんどの天体は散らばっており、ホロスコープを調べるまでは分かりません。月星座は山羊座で、火星星座は双子座、と違ってくるのが普通です。
10の天体にはそれぞれ、意味が異なります。太陽は目的意識を司りますが、月は快/不快を表す感情、金星は楽しみ、天王星は独自性など、それぞれ役割があります。先程の例なら、目的意識は蠍座のテーマに関わり、感情は山羊座のテーマに関わります。太陽星座は目的意識なので、性格を見るなら太陽星座ではなく、山羊座月を見たほうが良いでしょう。
星占いで使われる太陽星座は誰でも知っていても、一方他の星座は知らないから、簡略化して太陽の持っている目的意識だけではなく、性格や才能まで含ませるようになった、という時代背景があります。
太陽はあくまで、1/10の情報しか持たないのに、残り9割の情報まで背負うことになってしまったのです。いくら自分本位な性格を持っていたとしても、人に配慮できる余地があるものですし、いくら真面目な人であっても羽目を外すこともあるのに、太陽星座ひとつでは、そうした多面的な見方ができません。
ホロスコープは、ピザのような円の上に、生まれた瞬間に配置されていた10の天体を記した地図です。
10の天体は人間の10の意識を表します。10個の人格を持っていると考えてもいいでしょう。それぞれが協力しあったり、牽制し合ったりしながら、状況に応じて意思決定をしています。やめたほうがいいのに、衝動的に走ってしまったというのは、土星の理性と、火星の衝動性がせめぎ合った結果かもしれません。
一人の人間の中にある10の意識を、自由自在に使いこなせるようになれば、人生も豊かなものになります。人を見るときも、一辺倒な見方ではなく、多角的に観察することができるので、人間心理の洞察にも役に立ちます。